こじらせ人間の日常

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黒執事27巻 感想


世界で一番マイペースなブログですこんにちは。

26巻が発売されてから半年以上も経つのにまだ感想記事を書いていないのですが、一刻も早く27巻について語りたくて更新してしまいました。

いつもだったら発売されてから一ヶ月経たないと書き始めないのに今回は発売から一週間ちょっとで書いている奇跡。


それでは以下、27巻を読んでの感想となります。



※ネタバレ含みますのでご注意ください。



※当ブログでは本物のシエルを「双子の兄」、双子の弟で坊ちゃんを今まで通り「シエル」と呼んでいます。ややこしいと思いますがご了承くださいませ…。



さて、まずは簡単に26巻の内容をおさらいしますと、アグニが何者かによって殺され、死んだはずの双子の兄がついに登場、ファントムハイヴ邸が襲撃される12月14日までの回想が描かれました。

27巻はその回想の続き、「あの日」に一体何が起こったのかや生贄としての1ヶ月間の地獄のような日々、そしてセバスチャンとの契約についてまでが描かれています。


前巻から伏線回収回となっておりますが、26巻の幸せな日々の回想とは打って変わって27巻は目を背けたくなるほどの惨状が描かれていましたね。いやマジで大人がクソすぎてクソ。

そんな中でも個人的にお気に入りのシーンは双子の兄が月明かりに照らされながら指輪を飲み込むシーン。飲み込むときの舌の出し方とか飲み込んでるときの恍惚とした表情とか飲み込んだあとの指を口に当てる仕草とかすべてが素晴らしい。27巻のMVPを差し上げたい。

余談ですが、双子のお兄ちゃんはアニメ「黒執事Ⅱ」のアロイスに雰囲気が似てますよね。ヤンデレっぽい感じとか狂気さを感じるところとか。アロイス派の人はきっと双子の兄派なんですかね。私は坊ちゃん派です。


まあそんなことは置いておいて、今回初めて悪魔との契約シーンがガッツリ描かれたわけですが、セバスチャンから願いを聞かれた際「復讐する力が欲しい」とすぐに答えたように見えて、シエルの中ではいろいろな葛藤があったんですね。

その中に「セバスチャンだって僕の言うことはきかなかった」というセリフがありますが、最初シエルが執事の名をセバスチャンにしたのはただ単に 執事=下僕=犬 だからだと思っていました。

でもあのセリフを見て、シエルにだけ意地悪をしてシエルの言うことだけは聞かなかった飼い犬のセバスチャンという名を、これからは自分の命令に絶対服従する執事の名にすることで、

「セバスチャン=言うことを聞かない犬」

ではなく

「セバスチャン=言うことを何でも聞く犬(下僕)」

のイメージに上書きしたかったのかな、と思いました。双子の兄には懐いていたようなので、シエル・ファントムハイヴとして生きていくためにそうしたかったのかなと。何を言ってるのかわからないですねすみません。

シエルは飼い犬のセバスチャンに対して苦手意識があったようですが、回想で「窓からみんなの様子を見るだけ」と部屋から出てきたシエルに吠えていたのは、体が弱いシエルを外に出さないため、つまりシエルを守るために吠えていたんじゃないかなと。

ファントムハイヴ邸が襲撃されたときシエルの服を引っ張ったのも「俺が見てくるからお前はここにいろ!」って言ってるように見えますし。セバスチャンはもう一人のお兄ちゃんみたいなつもりだったんだ…いい奴じゃんセバスチャン…。

その後、契約内容についてシエルとセバスチャン(悪魔)が交渉するシーンは悪魔と人間の契約ってこんなにちゃんとしてるんだ…って感じでしたね。血と死体に囲まれながら悪魔とテーブルを挟んで契約交渉する少年がシュールすぎて。

シエルもあんなことがあったあとでしかもすぐ隣に兄の死体があるのにめちゃくちゃ冷静で感心しちゃいました。私がもし悪魔と契約するなら「5000兆円欲しい」って何も考えずに言うと思う。

あと、シエル自ら指輪を兄の体から取り出そうとしたのも驚きでした。結局はセバスチャンが取り出しましたけど、この時から「シエル・ファントムハイヴ」として生きていく覚悟を持ったんですね。


シエルは病弱で臆病な自分とは違い、強くて優しい兄のようになりたいと願ってこれまでの自分を棄て、兄の名である「シエル・ファントムハイヴ」として生きようと思ったわけですが、シエルは十分強くて優しい少年だと私は思います。

26巻の回想でヴィンセントと一緒に領地の視察に行ったシーンがありましたが、領民が不便なく暮らせるよう整備するのが領主の務めだと聞いて、「みんなのお願いを聞くのは大変そう」と言ったシエルに対し「でも羊だって餌がなければ余所へ行ってしまう」と兄は言っています。

領民の願望をすべて聞いてみんなが快適に暮らせるようにしたいと考える弟と、領民を家畜に例えてしっかりお世話しないといけないと考える兄。「女王の番犬」としての仕事を全うできそうなのは兄ですが、誰にでも優しく領民から慕われることができそうなのは弟のほう。ヴィンセントもそれに気づいている様子でした。

寄宿学校編で真夜中のお茶会にビザールドールが現れ、腰が抜けて動けなくなってしまったハーコートくんちゃんをシエルが助けたとき、それを見ていたアンダーテイカーが「同じファントムハイヴでも先代達とは違う」と言っていましたが、ヴィンセントをはじめ女王の番犬としての務めをしてきた彼らはそういう場面で迷いなく切り捨ててきたのだと思います。

他にも、どこにも居場所がなかった使用人たちを屋敷で傭ったり、豪華客船編で逃げ遅れたリジーを助けに戻ったり、スネークやサリヴァン、ヴォルフ、バイオレットなどなどシエルに救われた人はたくさんいます。

もちろんただの善意ではなく利益を考えてのこともあるでしょうし、中には救えなかった命もあります。ですが、双子の兄ならば恐らく全員見殺しにしていたのではないでしょうか。婚約者であるリジーさえも自分の命を懸けてまでは助けなかったと思います。

シエルは自分自身のことが嫌いなのかもしれません。でも、心優しくて、自分の弱さを知っていて、少し照れ屋で、守るべきもののために一生懸命になれるシエルが私は大好きですし、そんな坊ちゃんだからこそこんなにもみんなから愛されているのだと思います。

今はいろいろあってリジーやソーマから距離を置かれてますが、必ずシエルの元へ戻ってきてくれると信じてます。絶対に…!

なんだかシエルへの愛を語る記事になってしまいましたが、とりあえずはこの辺で。

次回は27巻までの考察をしたいと思います。